「すべての自治体で、当たり前のように、子どもの医療のかかり方を学ぶ講座が受けられる」 未来に向けて


子育てをする親が最も不安になるのは、子どもが病気になったときです。

しかし、どんなときに救急外来に行くべきか、どんなときは家でみていても大丈夫か、学ぶ環境はほとんと整っていないのが現状です。

母親学級や乳児健診で学ぶのは、主に沐浴の方法や離乳食、歯のことなどです。予防接種についても、健診での指導は接種スケジュールが中心です。

このような現状では、どんなときに子どもを救急外来へ連れて行くべきか、救急車を呼ぶべきか、最も肝心なことがわからない状況が続いてしまいます。

自治体が、乳幼児の離乳食や歯について定期的に講習を行っているように、救急受診の判断やホームケアについて、全ての親が学ぶことのできる環境をつくりたい。

親が子どもの病気について知り、理解することで、親・医療者ともに納得できる医療を実現していきたい。

私たちは、その目標に向かって日々の活動を行っています。

その結果として、疲弊している小児医療の現場は改善され、誰もが安心して子育てをできる環境づくりにつながると確信します。

 

「どんなときに救急にかかるべきか、どんなときに家でみていても大丈夫か」

当会は、親になったら誰でも学ぶことができるように、すべての自治体での開催を目指し、これまでに100回以上の講座を開催してきました。その経験のすべてを出し尽くして作成したのが、このマニュアルです。お読みいただければ、幸甚に存じます。

私たちはさらに、乳幼児を育てる時期に、親たちが救急のかかり方、医療機関のかかり方を学ぶことは、高齢化社会への対策にもつながると考えています。

 

人の一生のうちに、最も頻繁に医療機関のお世話になるのは、乳幼児期と高齢期です。その間に当たる時期は、健康であれば医療機関に足を運ぶことは少なくなります。自分の子どもが医療機関に頻繁に通う時期に、医療のかかり方を学び、医療についての関心をもつことができたならー。

実際に家族の介護に直面したり、自分自身が高齢になって医療機関にかかったりする際に、かかり方や医療そのものについても理解しやすくなるはずです。

また、親から子どもに医療について伝え、親子一緒に考えていくことができれば、その子どもたちが大人になった未来には、医療が医療者を中心に行われる時代は終わり、ともに築き、支え合う医療に育っていると信じます。

いざ、家族に介護が必要となったり、自分が高齢者となってからでは、それまでに培った価値観や考え方、受診行動を変えることは困難です。

「小児医療を入口にして、高齢化社会を支える医療の礎を築く」。

 

そのような気持ちで、私たちは医療のかかり方の講座を開催しています。

 

自治体向け 医療のかかり方講座開催マニュアル「はじめに」より